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2018年6月アーカイブ

座る姿勢と集中力

隠岐養護学校長

赤山克司

 高校では、生徒の学習への取組を促すために、大学受験をめざす予備校の先生を招いての講演会を実施しています。

 私も何回か聞く機会がありましたが、その中で、大学受験におちる座り方というものの紹介がありました。講師いわく「浪人座り」だそうです。

 その姿勢とは、足を前に放り投げるように伸ばし、いすの背もたれの後ろに頭が来るような姿勢でした。やってみると、黒板は見にくい。ノートはとりにくい。話を聞く気持ちにもなりにくい。いいことは何もない姿勢を、なぜとっているのか?

 背筋を伸ばし続けるための筋力が十分ついていない。十分な睡眠時間がとれていない。中学校までの学習につまずきがあり、高校の授業にはいっていけない等々。体力面と気持ち面両方の理由が言われていましたが、いずれにしても、本人は、自分の姿勢の悪さによって生まれているマイナス面と、直すことによる効果については、思い至ってはいないと思われました。    

 ですから、まず、良い姿勢とはどんなものか、良い姿勢だとどんなよいことがあるのかを説明し、できない理由の体力面、気持ちの面に働きかけていく取組が必要になってきます。

 まず1分背筋を伸ばして座ってみる。そうすると、自分はまっすぐ伸ばしていると考えていても、周りからみると、どこかおかしいということも出てきます。運動体験が少ないので、体の軸という感覚が育っていないのではないかという、新たな疑問が出てくることもあります。    

 集中力をもって授業を受けるためには、教員側の創意工夫が必要ですが、受け手の生徒の準備も大切です。その準備には、座って聞く姿勢も含まれます。

 「まず正しい姿勢をとる。そのことによって集中力を高める」これを実現するためには、児童生徒の心身の状態をよく見て、伝わる方法・言葉がけを考える。そんな取組の繰り返しを、教員集団として行っていけるよう努めて行きます。

 ただ、生徒は正直なもので、面白い、楽しいと思ったときには、前のめりになっています。姿勢は、様々なことを語っているものです。いろいろ書きましたが、生徒の姿勢は、授業への評価という面があります。心しなければ。 

やる気を引き出す

隠岐養護学校長 赤山克司  

 前回、「読書に親しむ」の中で脳科学者 池谷裕二さんの「やりはじめないと、やる気はおきない」という言葉を引用しました。引用しただけでしたので、少々説明をいたします。

 池谷さんは、口角を横に引っ張る動作、つまり笑った顔に近い表情を作ると楽しい気持ちになりやすい。布団から出るから、眠気が覚める。眠いからと布団の中に居ると眠気はさめない。そんな事例を紹介しています。

 では、やり始める動作をスムーズに行うためには、何が必要でなのでしょうか。

 先日、調理の学習を見ながら、やはり、経験した回数が「やりはじめ」をスムーズに行うには必要だと感じました。    野菜を洗い、皮をむき、料理に適した大きさに切る。一つ一つの動作はぎこちないですが、昨年の様子と比べるとスムーズでした。そして、楽しそうにも見えました。「やる気」が伝わってきたわけです。

 経験値を増やしていくことが「やりはじめ」をスムーズにするのですが、すべての活動の経験値をあげることは、学校では困難です。

 すべての行動に共通する「やりはじめ」は何か?卒業までの時間でできるようにするためには、そんな問いが大切だと思います。

 現時点で、「やりはじめ」を鍛えるには、単純に運動だと考えています。単純に走る。雑巾がけをする。部活動でサッカーをする。とにかく体を動かす活動を意識的に取り入れることが大切だと考えています。

 「姿勢を良くして」と注意しても、姿勢を保ち続ける筋力がなければ、姿勢の維持は難しいものです。「早く歩いて」と言われても、普段ゆっくりしか歩かない人には困難なことです。

できないことを、「やる気」の問題とせず、「やりはじめる」部分に着目することは、子どもに、必要のない叱責を与えないことにつながるかもしれません。

 次回は、座り方が学習意欲を左右するという予備校の先生の話を紹介しながら、体とやる気の関係について記していきます。

PTA活動について

隠岐養護学校長 赤山克司

※6月15日 島根県知的障がい教育学校PTA理事会において、事務局担当校として挨拶をする機会がありました。その挨拶に言葉を加えて掲載します。

 せっかくの機会ですので、隠岐養護学校の活動に触れながらPTA活動がもつ力について話させていただきます。

 専門機関の少ない隠岐地区にあって、隠岐養護学校は地域内の保育所、小中高校に出向き、相談や、必要に応じて検査などを、センター的機能として行っています。

 その担当者からの報告を聞きますと、支援が必要と思われる保育園児等に、うまく関わっていけないということが少なからずあります。

「保護者の理解が得にくい」という理由が多いように思われます。

 では、どうしたら理解が進むのかということになります。保育所や医師、教育委員会、特別支援学校などが、保護者に必要な支援について説明をし、理解を得ていくことが主な取組となります。

この取組では、頭の中での理解は進むと考えますが、将来のことや、地域社会での生活こと、様々なことを思えば、感情も含めて受けとめが進むかというと、十分ではないと思わざるを得ません。「わかってはいが・・・」という状態の方々が「理解が得にくい」と思われている方々の中におられるのではと推測いたします。

 そこで、PTAの活動が大切になると考えています。PTAの皆さんは、地域で様々な活動を担われています。その活動の中で、子どものことで不安を感じておられる保護者が、相談を持ちかけられることがあるかもしれません。または、相談という形ではないですが、皆さんとお子さんとの関係を見て、支援の必要性とその可能性について前向きな理解をされるかもしれません。

 PTA活動に積極的に取り組まれている皆さんの姿そのものが、「理解を進める」力があると私は考えています。

 特別支援学校に在籍されている児童生徒の保護者の中にも、子どもの特性と関わり方について、わだかまりを持ち続けられている方々がおられるようにも感じております。そのような方々は、どちらかというとPTAの活動に参加が進まない傾向もあるよう思います。子どもの教育活動に熱心に関わっておられる皆様方と、一緒に活動をされることは、わだかまりを薄めるよい機会となると考えています。

 活発なPTA活動は、児童生徒だけではなく、保護者自身を支えるものと考えれば、大変大切な役割を担う組織であります。保護者同士の声がけが進みますよう各校において取り組まれ、とまどいをもっておられる保護者の方の背中を押していきたいものと考えております。

 2年間、気づかないことも多いかと思います。お教えいただきながら事務局を努めて参ります。どうかよろしくお願いいたします。

PTA

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図書に親しむ

隠岐養護学校長

赤山克司

 卒業後の生活を安定させるためは、自分が働きたいと考える場の確保と、余暇時間をすごす術を身につけていることが大切になります。

 働く場では、「この仕事を、12時までに仕上げてください」などのように、活動の目安を示してもらえます。目安にもとづいて仕事を続け、職場の人の「いいぞ」とか「ここをもう少し」などの声かけに応えていくと、働く技能が向上し、見通しが持てるようになる時が来るはずです。人によって、行っている仕事によって、その時が来るのが、速い、遅いがありますが、きっと来るはずです。

 仕事は人を成長させてくれる大切な場なのですが、自分に関わってくれる他者がいるから、成長が促されるのです。

 では、余暇時間ではどうですか。自分の成長を支えてくれる他者がいるでしょうか。なかなか余暇時間に関わってくれる人を見つけるのは難しいと思われます。だとすれば、余暇時間こそ、自分が試されていると考える必要があるのです。

 余暇時間はゆっくり休む時間である。何もしなくてもいいじゃないかという考えもあります。確かに、そのような時間も必要なことは確かですが、休みの日ずっと何もしないというのは、休みが終わって働き始めようとするときの、立ち上がりがうまくいくだろうかという不安を感じます。

 何もしないことにより、次の活動の意欲が高まるということがあるのでしょうか。

 私は、脳科学者 池谷裕二さんの「やりはじめないと、やる気はでない」という考え方を信じているので、何もしない状態から次の活動へ移る、出だしの一歩の練習をしていないと、休みと活動意欲は結びつかないとの見方で人々の活動を見ています。

 余暇の過ごし方は、様々ですが、何かをやり始めることが、誰の働きかけがなくてもできるようになればと期待しています。

 学校では、釣りや野苺摘み、料理など休日にできそうなことのきっかけを作ることに努めています。その一つに読書の勧めがあります。

 読書は、まず図書館か書店に出かける、本を選ぶ、読む、想像するなど「やりはじめる」ことの連続です。内容が面白いことに目がいきますが、読書をはじめる行為自体が、活力ある生活につながっていると考えます。

 そんな読書に親しんでもらうために、県は、特別支援学校に図書館司書を配置し、整備にあたっています。

 現在、本校の図書館も整備が進み、本を手に取りやすくなっています。

 玄関には、図書委員会の掲示物。図書に親しむきっかけ作りに努めています。

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「できる」ということ

隠岐養護学校長

赤山克司

 「やればできるはずだ。」という話が出てくるケースは様々だろうと思います。乱暴ですが、思いつくままケースを書いてみると、

 1 周囲の者が、「できる」と考えて、本人の肩を押す場合(励ましも、叱責の場合もありますが)

  2 周囲の者が、「むずかしい」と考えているが、本人などがやりたいと言う場合(すぐ行動に移す場合も、なかなか行動に移さない場合もありま  すが)

 「やればできるはずだ」という発言は、まず、今はできていないということを、周囲の者及び本人などが認めていることを示しています。その点では一致しているわけですから、「やればできる」という発言に対しての意見の相違が発生した場合は、将来における可能性に対する意見の相違ということになります。簡明にいうと「私はしたくない。できません」であるとか「あなたには、そんなことはできません」という否定的な考えをめぐっての意見対立となってしまうわけです。悲しい話になってしまいます。

 自分の些細な経験で申し訳ありませんが、これまでの教員生活で「やればできるはずだ」と言われて、驚いたケースに、「プロゴルファーになる」といわれたものがありました。当時その男子生徒は、学校生活がうまくいっておらず、家庭訪問の際に「ゴルファー」という発言をききました。運動もしておらず、ましてやゴルフクラブももっていないのですから、「できるわけない」と話す根拠はたくさんありましたので、「そんな夢物語をいっておらず、現実を見て」と話したと記憶します。

 今思い返すと、「プロゴルファーになる」ということをきっかけに、世間話でもして帰ればよかったのにと、遅いですが、後悔をしています。「今の学校では、自分はうまくいっていません」という思いを、「ゴルファーになる」で表現した可能性があるからです。きっとその生徒は、この教員と話してもだめだと考えたと思います。

 周囲の者と、本人などが可能性の話ではなく、今ここでできていること、挑戦しようとしていることに焦点を絞ってかかわっていれば、「プロゴルファー」のような感情の行き違いは起きにくいのではないか。現在そのように考えるようになりました。

 本校の生徒の多くは、苦手意識が大きくて新たな行動をはじめにくい場合があります。また、できるようになると少々自信を持ちすぎるきらいもあります。ですから、本校でも上記の1のような教員からの「やればできる」も、2の場合のような生徒からの「やればできる」と両方の「やればできる」が聞かれます。

 どう対処していくのか。大切なのは現状確認とその評価の積み重ねだと考えています。現実の事実をもって、ほめる、はげます。少しの変化を後押しする。そうすることで、日々の生活だけが将来につながっていることを実感していくこと。その積み重ねを大事にすることです。

 「練習はうそをつかない」など、日々の生活だけが将来につながっていることを示す言葉は多くあります。 本校では、高等部3年生が実習先の施設長に指摘された「学校できないことは、仕事場でもできない」という言葉を利用して、生徒に日々の生活こそが重要であることを浸透させようとしています。

 現場実習は、現状認識と評価の場の大切な機会です。

 来週5日実習は続きます。がんばれ、高等部生。

 

現場実習決意表明会

隠岐養護学校長

赤山克司


 隠岐養護学校の高等部の生徒は、1・2学期には10日間、3学期に5日間、計25日間の現場実習を行っています。就労先を決める実習の場合は、日数をさらに増やしていくこともあります。

 昨年度、牧場への就労を希望した女子生徒の場合、牧場の仕事の中でも、もっともきつい作業である飼料の稲わら運びを体験するため、臨時の実習をいれました。丸くまとめられた稲わらは1トン近い重量があるそうですが、女子生徒は実習をやりとげ、今年の4月から働くことができています。

 実習をやるきることは、自分の長所を確認できたり、改善すべきことに気づくことにつながります。実習での気づきを学校での生活に反映させ、自分の思いに基づいて改善に取り組む。そんなよい循環を作り出すため、実習の前には決意表明会を行っています。

 学習でもスポーツでも、何かをがんばろうとする場合、目標をしっかり作ることが重要です。「なんとなくがんばります」という状態で出かけることは、受け入れていただく企業、事業所の方々にに大変失礼ですし、生徒自身の成長も引き出せません。何を頑張るのか、しっかり文字にして、声に出していく。その場が現場実習決意表明会です。

 二年生の時は、「挨拶をがんばります」「最後までやりきります」など、特に現場実習でなくてもできそうな目標を、どこか人ごとのように発表していた生徒も、三年になると、「4月から働けるよう頑張る」と、実習と自分の将来をしっかり結びつけることができていました。

 そして、目標も「安全確保が求められるので、周囲をしっかり確認します」であるとか、「丁寧な言葉遣いを頑張ります」のように、実習先に応じた、より具体的な内容になっていました。
積み重ねた実習の成果を、この決意表明会で感じることができました。

 生徒の発表の最後は、「この目標が達成できるよう頑張ります」で統一されていました。後は、日々、自分の立てた目標を確認し、実践するだけです。

 6月25日には、事後学習会において、成果が報告されます。健康に気をつけ、がんばれ!!!

お礼 運動会のボランティアの方々

隠岐養護学校長

赤山克司

 6月2日に開催した「隠岐なかよし大運動会」では、49名のボランティアの方々のお力を借りしました。 49名の方々は、隠岐島前高校、隠岐水産高校、西郷中学校、西郷南中学校、都万中学校、隠岐の島町教育委員会などからお出かけいただきました。交通費も昼食も準備できておりません。本当に感謝、感謝です。

 本校では、二つの目的でボランティアをお願いしています。

1 児童生徒が競技に専念できる環境をつくるため

2 本校児童生徒などへの理解を進めるため

1 児童生徒が競技に専念できる環境をつくる

 ボランティアの方々には、本校の競技運営担当教員とともに、用具、招集、出発、決勝、掲示などを担当していただきました。 高校などでは、生徒が担当する係業務ですが、ボランティアの方々に担っていただくことで、児童生徒が競技やハーフタイムショーに専念することができています。

 本年度、競技に参加した児童生徒は44名。競技数も多いため、一人で6種目程度出場します。競技だけに集中できる環境が大切になります。また、本校教員や、引率の先生方も、うけもつ児童生徒の競技補助や応援席などでの安全確保に専念できる環境づくりが重要となります。 ですので、ボランティアの存在が、運動会の盛り上がりづくり、安全確保に必要不可欠なものなのです。

 ボランティアの方々の力により、安全かつスピーディに運動会をを運営することができました。来場された方々も、競技に集中する児童生徒の姿をみていただけたのではと考えています。 運動会の主役である児童生徒は、競技に専念したことで、やりきったという大きな満足感を手にすることができていました。ボランティアの方々の助けがあってのことです。 本当に感謝、感謝です。

2 児童生徒への理解を進める

 様々な課題を解決するための方法として「理解を深める」とか「共通理解を進める」という言葉が使われます。ではどうしたら理解を深め、共通理解が進むのでしょうか。

 私は、活動をともにすることが最も有効な方法だと考えています。 ともにする行動が、お互いに楽しめるもの、気持ちが伝わるものであれば、より効果の高いものとなるはずです。

 今年の運動会で、太鼓を演奏する本校生徒の姿をみて「かっこいい」というボランティアの発言があったと聞きました。よい出会いがうまれたものとうれしく思っているところです。児童生徒それぞれの体力、思いをもとに競技を真剣にやりきっていました。その姿は、見ていただいた方々によい影響力を及ぼしているのではと期待しているところです。

 ボランティアの皆様方、本当にありがとうございました。 また来年お会いしましょう。

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