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2018年3月アーカイブ

平成29年度修了式

隠岐養護学校長

赤山克司

全員出席で、修了式ができて本当にうれしいです。先ほど、修了証を一人一人に渡しました。私は、ここにいるみんな、よく頑張った一年だったと考えています。

12月に学校生活についてアンケートをとりました。「昨年度よりできることが増えた」という質問に対して、全員が「はい」と答えています。みんなも手応えを感じていることがわかって、大変うれしい結果でした。

2週間もすると、2年は3年に、1年は2年になります。同じことをしていると、寂しいですね。では、どうがんばればよいのでしょうか?

W君が実習先の諏訪苑施設長涌井さんから「学校でできないことは、仕事場でもできない」といわれたそうです。

本当にそうだな、いい指導をしていただいたなと感謝しています。

こんないいことは、W君だけのものにしておくのは、もったいないですね。

「学校でできたことを、現場実習でためしてみよう」というレベルにあげて、新年度取り組んでいきましょう。

最後に、できるとはどういうことが、確認しておきます。できるとは「知っている」ことではありません。できるとは、考えなくても、決心しなくても、よい行いをしていることです。繰り返しにより、身につけたレベルです。 一緒に取り組みましょう。

働くために3 作業学習

隠岐養護学校長

赤山克司

 知的障がいがある子どもたちが学ぶ本校では、理科や社会などの教科、特別活動のような領域を、それぞれ単独で学習するのではなく、「教科、領域を合わせた指導」というくくりで、様々な要素を組み合わせた授業の形があります。

 作業学習は、「教科、領域を合わせた指導」の一つとして行われているもので、学習指導要領は「作業学習は、作業活動を学習活動の中心にしながら、児童生徒の働く意欲を培い、将来の職業生活や社会自立に必要な事項を総合的に学習するもの」と示されています。

 陶器を作る。大根を栽培する。そのことを行うためには、多くの技術・知識が必要ですが、作業学習のめざすものは、あくまで「働く意欲を培うこと」「将来の職業生活や社会自立に必要な事項を学習すること」です。ですから、どうしたら「働く意欲」を引き出せるか。「将来の職業生活に必要な事項」とはどんな技能、知識なのかという教員側の考え方により、同じ作業学習という授業でもその内容は大きく異なってくるはずのものです。

 「働く意欲」をどのように高めていくのか。基本は作業が面白いこと、そして完成させることで達成感を感じることだと考えます。それに加えて、自分たちの作った製品を、誰かに買ってもらえ、お金を手にすることができることも重要のように思います。  

 お金を自分が働くことで手にすることができる。このことを実感できる場をつくることも作業学習の大切な役割となります。そのために、11月の隠岐養護まつり、2月の岐楽市という販売の機会を作っているわけです。  

 ついで「将来の職業生活や社会自立に必要な事項」とはどのようなものでしょうか。これまでも度々ふれていますが、やはりあいさつは必須です。それと「職場にふさわしい言葉遣い、服装」「手洗いなど衛生管理」「後かたづけなど環境整備」「作業を毎日続けられる体力」等々多様な内容が考えられます。  

 すべてを盛り込むわけにもいきませんので、児童生徒に応じて、何を強調するのか選択していくことになります。 一度注意したからわかるというものではありませんので、年間を通じて、授業開始時に、挨拶・服装確認、作業をする際の注意点を確認し、授業の終わりで自分自身で評価しています。その繰り返しにより、校外での現場現場実習に向かっていく態度、体力を身につけていくのです。

 次回は現場実習について記していきます。

働くこと2 企業からの希望

隠岐養護学校長

赤山克司

※障がい者就労支援連絡会議に、島根県障がい福祉課から出された資料を利用して、今回のブログを書いています。以下、文中に数字がでてきますが、これは記述回答に書かれて事項を数え上げたものだそうです。

島根県内の関係機関が共同で実施した「障がい者・事業主双方のニーズ調査(アンケート調査)」の内、事業主が障がい者を雇用する際、重視することの部分が会議で説明されました。

さて、事業主が最も重視していることは何でしょうか。仕事ができることは必要だとは思いますが、事業主が期待している第一は「まじめ・勤勉性115」、ついで「遅刻・欠席がないこと105」でした。「コミュニケーションがとれる66」「仕事ができる45」を大きく上回っています。
「まじめに毎日働ける人」を企業が求めているという結果です。何年にもわたって就労をつづけている卒業生をみても、確かに毎日働いています。

 毎日学校に通ってくる。このことが就労を目指す最も必要な資質である。ここはぶれずに押さえておきたいと考えています。「やる気になれば、できるはず」という考えは、「やる気を毎日登校することで示していこう」という姿勢のもと、安易に持たないようにしたいとも考えています。
ですので、学校は、生徒が毎日学校に行きたいと思える雰囲気、活動内容を工夫していくことが大切となります。
 

 加えて、生徒が学校に来にくい理由があれば、理由を探り、解消するよう辛抱強く努めていくことが求められます。
 現在のところ、ほとんどの生徒が休まず学校に来ています。その状態が崩れないようにしながら、挨拶やわからないことを質問するというコミュニケーション力、一日働ける体力づくりを行っていきます。

 次回は、岐楽市の紹介記事で既に紹介している作業学習についてもう一度、記していきます。

平成29年度 卒業式式辞

平成二九年度 卒業式 式辞

平成三十年三月十六日 

島根県立隠岐養護学校長

赤山克司

本日、隠岐教育事務所長有木健二様を始め多くの皆様のご臨席をいただき、高等部四名の卒業式を行えますこと、まずお礼申し上げます。ありがとうございました。

Aさん Bさん、Cさん、Dさん、卒業おめでとうございます。

みなさんが、それぞれの家庭の願いをもって名付けを受けてから十八年がたちました。これまで、生活を支えられてこられたご家族の皆様には、様々な喜びも悩みもあっての十八年であったと思います。私も子供を持つ一人の親として、ご家族の皆様のこれまでの日々にお思いをいたし、今日この日を迎えられたことに対して敬意を表したいと思います。改めておめでとうございます。

ご家族の思いが込められた名前に加え、私はみなさんの学校での活動から、いいな、すごいなと感じたことを簡単な言葉にして送りたいと思います。

Aさんには、「しなやか」Bさんには「ひたむき」Cさん、Dさんには「伝える力」です。

Aさんは昨年一月出雲から本校に転校し、四月から松江での生活を始めます。環境が変わる中、木々の枝が風を上手にやりすごすように、のびやかに日々を過ごし、水泳や駅伝など次々と挑戦しました。それはしなやかさそのものでした。Aさんが加わったことで、本校の活動は、より充実したものとなりました。Aさんとの出会いに感謝するとともに、新しい環境で、しなやかに活躍されることを期待します。

Bさんは、夏の隠岐高校のグランドでの走る練習、海士町の牧場での実習。黙々と取り組んでいました。その姿は、努力という言葉を超えた、一途さ、「ひたむき」さを強く感じさせました。Bさんの「ひたむき」な姿は人の心を打ち、動かしました。希望した職場です。存分に力を発揮してください。

「しなやか」「ひたむき」は外から見えるすばらしさですが、 Cさん、Dさんからは、人のうちにある「伝える力」のすばらしさを改めて学ばせてもらいました。

Cさんは、本校の教員と保護者の間で見つけた手のサインで気持ちを伝えています。Dさんは、小説や担任へのメッセージを書くことで、気持ちをまとめることができています。方法は違いますが、「伝える力」を発揮し、様々な困り感を自分自身で整理し、生活自体を整えることができています。また、二人のそのような姿は、周囲のものに安心感と喜びをあたえてくれています。伝えることが人の生活を支え、豊かにする。そんな当たり前のことを、さりげなく実現している二人の姿を、本校教員の財産として大切にしていきます。

卒業生皆さん、それぞれの強み、そして力をもって、「働く場」に向かっていってください。困ったら、相談でしたね。相談を実行するだけです。

最後に、成長についてふれさせていただきます。成長が、できなかったことができるようになることであるとしたら、できないことに直面することこそが、成長のスタート地点となります。できないことに直面することを、苦労という言葉に置き換えてみると、苦労なしには成長がないということになると私は考えています。

北海道浦河町にある障害者施設「べてるの家」では、「苦労をとってはいけない」という言葉があると聞きます。

四名が苦労の前で、立ち止まったとき、相談してくれるまでちょっと時間をとっていただきたい。苦労を自分の力で何とかしようとする力を発揮させてもらいたい。卒業に当たり、ここにおられるすべての皆様にお願いいたします。

本日、臨席いただきました児童相談所、ハローワーク、仁万の里、みんなの作業所、太陽、あじさいの皆様。皆様のお力添えにより今日卒業を迎えました。本校教職員を代表して感謝申し上げるともに、変わりないご支援をお願いいたします。

もう一度卒業生のみなさん、困ったらどうしますか。言葉で、サインで、文字で自分の思いを伝え、相談してください。そうしたら大丈夫。大丈夫です。

                     

働くために(1) 支える組織1

 平成30年3月13日

隠岐養護学校長 赤山克司

 3月12日・13日に島後、島前において「隠岐圏域障がい者就労支援連絡会議」が開催されました。
 

 この会議は、本校の生徒をはじめとする障がいがある人の、働くことと生活することの支援を行っている組織である「隠岐障がい者就業・生活支援センター太陽」(以下 太陽)が主催するもので、多くの関係機関が集まって事業報告などを行っています。
 

 この会議の参加者を紹介することで、どのような組織がどのような役割をもって、本校生徒の卒業後の生活を支えているのかが大まかにわかります。かなり堅苦しいですが、参加した各組織を紹介することで「支える組織」をざっくり把握していただきたいと考えます。

 以下、支える組織を、その果たす役割から6つにわけて紹介していきます。

1 障がい者雇用を「法定雇用率」という制度を利用して企業に働きかける組織 
  島根県労働局、ハローワークなど
2 障がい者雇用を進めるための事業を立案・実施する組織
  島根県障がい福祉課、雇用政策課、隠岐保健所、隠岐の島町福祉課
3 障がい者の就労先の開拓、斡旋をする組織
  ハローワーク、太陽など
4 障がい者雇用を進める企業や、働きたい本人の相談支援をする組織
  島根県障がい者職業センター、県東部発達障がい者支援センター「ウィシュ」、東部若者サポートセンター、太陽、町社会福祉協議会
5 働く技能・意欲を育み、就労につなげていく組織
  仁万の里、みんなの作業所、あじさい、東部技術校
6 教育、医療機関
  隠岐教育事務所、隠岐養護学校、隠岐病院など

 参加組織が多いということは、お互いに連絡を取っていないと、十分に機能しない危うさがあるということでもあります。そのような危うさを防ぐために、年2回、顔をあわせてお互いの事業・取組の理解を深めることが必要になるわけです。


 卒業後の働く場を確保するために、本校の進路指導部は、多様な組織への働きかけを行っています。

 その際、事業の元になっている法律、制度を利用するための手続きなど多様な理解が必要にもなります。
にわか勉強では、歯が立ちません。相談をしやすくするために顔をつなぐことが大切になります。この会議は、顔つなぎのためにも大切な場となっています。

校内研究(4) 自分を知る

平成30年3月12日

                                隠岐養護学校長 赤山克司


 本校の生徒に限らず、「自分の長所は、これです」と語れる高校生は少ないのではないでしょうか。私がこれまで勤務した高校でもそうですし、NHKのETVで放送された「奇跡のレッスン」のどの回をみても、「うまくできなかった点」を言うことができる生徒は多いのですが、逆はすくなく、外国人コーチが繰り返し「ポジティブ」になることを伝えていました。 
 

 中学校から本校高等部に入学してきた生徒も、「自分を知る」という課題に対して、「わからない」または「苦手としていること」などをあげる傾向があります。
 

 教員がどんなに「ここがいいと思うよ」とか「あの行事で頑張れていたね」とプラス面を伝えても、どうしても受け取れないようです。
 

 このような状態を変えていくためには、自分でもがんばれたという達成感の蓄積が必要だと考えます。
 

 隠岐養護学校では、小中学校の特別支援学級や、福祉施設などと共同で活動する行事や、地域のスポーツ大会に出場する機会も多く、それらの行事に、年3回、1回につき2週間程度の現場実習を加えて、生徒は忙しく多様な経験を積み重ねていきます。
 

 そのような体験を高等部入学後、1年半程度続けていくと、生徒一人一人の行動に、前向きな変化がみられるようになります。現場実習や、行事の企画運営に手応えを感じ、そして校外の方々から肯定的な評価をもらえたことが、各自の内にたまり、あふれでるような感じといえるでしょうか。
 

 そのような機会をとらえて、普段接する機会が少ない教員に「自分のよいところは何ですか?」などのインタビューをし、それを紙にまとめていく生活単元学習を企画しました。
 

 他者から「自分のよさ」を話してもらい、それを紙に書き写しながら、再確認する。同じ活動をする同級生のかきあげるものをみながら、発表を聞きながら、考えを深めていく。
 このような授業を積み重ね、「自分は卒業後、ここで働きたい」という重要な思いを固めていきます。
 
 次回からは、働くことをどのように学んでいるかなどを記していきます。

校内研究(3)自信を持つこと

 挨拶をする、人に相談する、アドバイスを受け入れる、これらのことは、できる人には何でもないことことのように思われます。

 しかし、人との関わりで不安を抱えている場合や、うまくいかなかった経験を多くしてきて場合、そう簡単なことではありません。  

 不安を抱える生徒に対して、できたことをほめ、自信を持ってもらおうと考えるのですが、生徒自身に達成感がないような言動をほめてもらっても、生徒はうけとることができず、「ほめられることは苦手」と発言することもあります。  

 そのような状態の生徒に対して、「身の回りのことで、できることを増やす(整理整頓、簡単な家事)」という生活単元学習を計画し、実践しました。  裁縫や木工、調理などの活動で構成された授業の中で、調理活動について、詳細な記録がまとめられました。  

 ポイントは、献立を自分で選択する。他の人と比較しなくてもよいように、マンツーマンで活動する。人との関わりを増やすためにも、外部講師に指導してもらう。そして、学校での活動を保護者にも伝え、家庭での料理につなげるの4点でした。  

 今回 生徒が選択した献立は「ハンバーグ、ポテトサラダ、コンソメスープ」。外部講師には2度指導してもらい、ハンバーグの加熱方法などのアドバイスをもらいました。1回目には講師の方にあいさつもできない生徒でしたが、2度めには「ありがとうございました」としっかりお礼が言えるようになり、「ハンバーグの真ん中をへこます」などのアドバイスもしっかり自作のレシピブックに記録されました。  

 家庭でも、早速コンソメスープを作り、母親から「おいしくいただきました。最近ほめるとにっこり笑うようになりました」とのコメントが連絡帳にかかれていました。  学校の活動が、家庭で生かされることは、生徒も保護者も成長を実感できます。やってみて、ほめられて、またやってみる。そのようなよい循環により、自信は育まれるものだと実感した実践でした。

次回は、自分を知ることについて記していきます。

校内研究(2) 体の動き

 小中学部の児童生徒の課題の一つとして取り上げられたのは、学習中姿勢が崩れ、集中して話が聞きにくいことでした。
 

 背中を丸めて椅子に座っている姿や、作業のぎこちなさなどから、体を支える力の弱さや、体の動かし方のイメージを十分に持っていないのではないかということが考えられました。
 

 それらの点の解決に向け、9:00から30分間の朝運動を毎日、1年間継続しました。
 

 内容は、体育館内でのランニング、キャスターボード、ラダー(縄梯子状の器具)を利用したステップ運動、腹筋・背筋各20回、正座3分。
 

 単調なランニングに見通しをもつため、走る時間を音楽が流れている間とし、走った回数が目で確認できるよう掲示も工夫しました。
 

 運動だけでなく、利用する用具の準備片づけもすべて生徒が行います。
 

 今から何をするのか、どうなったらこの活動を終わっていいのか、終わったら何をするのか。そのようなことがわかるようになると、生徒の活動に対する不安は減少し、混乱なく活動を継続していきます。そして、毎時間きちんと、できたことを言葉で生徒に帰していきます。

 その繰り返しの結果、2月現在、生徒の背筋はすっきりと伸び、集中力も向上しています。

 背筋は気持ちをしっかり持てば、のばせるはずだというのは、大人の思いこみの一つかもしれません。何らかの理由で、運動経験が不足している子どもには、大人が「どうして?」と感じる、動きのぎこちなさや意欲の低さがあるようです。それを、この子の特性であるとするのではなく、焦点を決めて、改善に取り組む。体が動くと、意欲も動き出した。そんな事例が校内研究で取り上げられています。

 次回は、「自信のなさ」について記していきます。

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