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習慣について(6) 習慣の力

                                       隠岐養護学校長 赤山克司

 習慣について、コービーの著書『七つの習慣』に書かれていた「優秀さは習慣である」を引いて記し始めました。 習慣に関する一応のまとめとして、習慣の持つ力の大きさを感じた話を紹介します。  医師鎌田実さんがラジオ番組で語られたアウシュビッツ収容所の現地のガイドとの会話です。鎌田さんが現地ガイドに対して「収容所からの生存者の共通点はなんでしたか?」と尋ねられました。

 私は、希望をもつ力」「強い意志」など精神力を想像しましたが、ガイドの回答は異なっていました。  

 ガイドは「希望をもたせるようなデマがしょっちゅう飛び交っていた。希望がたたれると、多くの人が命を絶っていった」と語った後、「希望を持ちながらも、毎日の生活を丁寧に、当たり前のことを続けた人たちだ」と続けました。「丁寧に、当たり前のこと」の例として「歯ブラシがなくても、指を使ってでも毎日歯を洗おうとした人」「ガラス片を拾ってひげをそる人」などをあげ「ひげをそるなんて命が助かるかどうかとは何の関係もないのだけれど、毎日を営みを丁寧にしようとするする人が結局生き抜いた」とむすばれたそうです。  

 「歯をみがく習慣」「ひげをそる習慣」が生き抜く力を与えたとうけとれる話です。  

 収容所という極限の状況をもとにした証言です。自分の体験、考えとひきあわせて何かを書くというのは、控えたほうがよいとは考えますが、あえて私の思いを書かせてもらいます。  

 ひげをそることを例にしてみましょう。ひげをそる行為は危険を伴いますの集中力が必要です。そり具合を確認し、うまくいくと気持ちがよい、ささやかな達成感を与えてくれます。やや大げさな言い方ですが、ひげをそる時間は、迷いもなく充実した時間といえると思います。人の指示によらない、自分のための時間を手に入れているとも考えられます。  丁寧な生活をするとは、数多くのそんな習慣を身につけており、習慣にもとづく達成感がある時間の使い方をしている人たちであったと、私はこのガイドの説明を理解しています。  

 多くの習慣が身に付いている人は、自然に手足を動かせる人です。日常の多くのことは始めてしまえば、実はほとんど終わったも同然ですから、よい習慣を身につけた人は、たぶん流れるようにものごとを処理する基礎ができているのではないでしょうか。  

 また、日々行っていることには、発見があり、発見にもとづく改善が生まれます。丁寧に生きることそれ自体が、創造の素地をつくっているともいえると思います。  習慣に着目し、焦点化して地道に取り組む。それが生徒に「生きる力」を育む方法だと考えています。

 次回から、作業学習について記していきます。

2018年5月

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